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パーフェクト・ワールド・エンド13-9
「それと知っていると思うけど。服薬する回数を増やしても、きみの求めている効果は期待できないよ」
「でも」
「身体に無理が出るだけだ」
一時的には効いているような気がしているのかもしれないけどね、と打たれた先回りに閉口する。
「だったら薬の種類を変えろときみは言うだろうから、先に言うね。変えたとして多少の変化は出るかもしれないが、根本的な解決にはなり得ない。どちらかと言えば、カウンセリングをお勧めする」
「いりません」
「だよね。そう言うと思った。きみ、カウンセリングを受けるのは心の弱い人間だと思ってるクチだろう。それね、ひどい偏見だよ。そういう意味ではこの国は遅れてるんだ」
暗にきみも遅れているんだよと指摘しながら、言い足す。
「それで、わかってると思うけど。今日のことも含め、結果は璃子さんに伝えるからね」
「……」
「あのね。きみがいくらしっかりしていようとも、きみは未成年だ。そういう意味で、僕にはきみのご両親に伝える義務がある」
「だったら」
正論だと分かってはいるが、今後を思うと面倒だった。
「せめて父にしてくださいよ」
「簡単な話だ。僕はきみのお母上の連絡先しか知らない」
「とんだ主治医ですね」
「合理的だろう。きみのことに関する決定権を持っているのは、璃子さんじゃないか」
認めたくないことをあっさりと告げて、笑う。その諭そうとする顔は昔から好きになれなかった。
「それで、それは」
沈黙をものともしない声が続く。
「いくつになってもきみが彼女の管理下から動こうとしないからだよ」
――おまえ、そういうのなんて言うか知ってるか。
いつだったか、呆れた顔で向原に笑われたことがあった。毒親。洗脳。どう表現してやっても良いけど、つまりそういうことだな。
そういうこと。自分が独り立ちできていないということ。いつまで経っても、影響下から抜け出せないでいること。
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