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パーフェクト・ワールド・エンド14-5
そのまま並んで消えていくのを見送って、皓太は茅野を見上げた。茅野は視線に応えるでもなく、遠巻きにしていた寮生たちに一歩踏み出す。
「ほら。いつまでもたむろするな。あと、時期が時期なんだ。頼むからウチを妙な噂の発信地にしてくれるなよ」
口調は笑っていたが、有無を言わせる圧は隠しきれていない。まばらな返事のあとに、そそくさと階段を上っていく。
誰もいなくなったのを確認して、皓太は問いかけた。
「あの、外出って」
「知らん」
皓太の問いかけを一刀両断して、茅野が首を振る。
「届出に書かれている以上のことは、寮長だからと言って俺に知る権利はない」
「それは、まぁ……そうでしょうけど」
「まぁ、外泊にするかと言ったら外出でいいと言ったんだ。それまでには戻ってくるだろう」
自身にも言い聞かせるようにそう言って、ちらりとドアのほうに視線を送る。つい数分前に元凶と言っていい人間が出て行ったばかりだ。
「向原たちとバッティングしないといいがな」
想像しただけで嫌すぎる。見に行きましょうかという提案を呑み込んで、皓太は曖昧に頷いた。
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