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パーフェクト・ワールド・エンド14-8
「それで」
語尾をわずかに和らげて、皓太は問いかけた。
「急にまたそういうことを言い出したのは、このあいだ遅く戻ってきたときのことが原因?」
瞬間、逡巡するように榛名の視線が泳いだ。けれど、すぐに答えがあった。
「なんで分かるんだよ」
多少、不貞腐れたような色は混ざっていたが、丸くなったなぁとほほえましくなる。同性の同級生に対して持つ感慨ではないかもしれないが、この学園に入学した当初の気苦労と引き換えで許してほしい。
本当にあのころは大変だった。懐かないプライドの高すぎる凶暴な猫。いいとこ、それだ。
――そりゃ、三年も経てば人間変わるよ。
オメガだとか、アルファだとか。そういった第二の性に関係ないところで。人格に影響を与えるのは、周囲だと皓太は思っている。そういう意味で、成瀬が榛名に与えた影響は大きかったのだろう。
「まぁ、分かるよ、それは」
丸三年以上一緒にいるしね、と続ければ、不承不承の顔で榛名が頷いた。
「ちょっとクラスで、そういう話してるやつがいて」
「そういう、って。その水城の同好会に参加したやつに話でも聞いたの?」
よく怒らなかったねと感心していたのが伝わったのか、榛名がぶすりと付け足した。
「べつに、俺だってさすがに誰にも彼にも噛みついてるわけじゃないし」
「いや、まぁ。そのあたりの危機管理能力が培われたなら、本当にいいことだとは思うけど」
まぁたぶん四谷はハラハラしてただろうけど、と思ったがそれは言わなかった。
秘密の薔薇結社のことは、皓太はたぶん榛名よりも多く知っている。なにせ当事者が同じクラスに在籍しているのだ。自分たちと同じ学年のアルファが何人も会員になっていることも知っている。
そこでなにをしているかも。
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