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パーフェクト・ワールド・エンド15-5

 この学園にいる以上、帰る場所はそこしかない。あるいは成瀬にとっては、学園にいようがいまいが、もうずっとそこしかなかったのかもしれない。  仮初だったとしても、ここが好きだし、ここにいる間くらい自由に幸せであれたらいいと思う。いつだったかそう言っていたとき、成瀬は珍しく屈託のない顔で笑っていた。  だから、そのあいだであれば協力してもいいと思えた。けれど、それももう随分と昔の話だ。まだ中等部にいたころの話。この学園を出る未来がまだ遠かったころの話。 「戻りたくねぇな。面倒なことになってそう」 「聞かないのか?」 「俺が聞くと思う?」  だろうなと相槌を打てば、空気が揺れて笑ったのが分かった。 「うちの先生がさ」 「先生?」 「いや、まぁ、早い話が主治医なんだけど。あの人に連絡するって言ってたから、まぁ、そのうちなにかしらしてくるだろうなぁと思ってたんだけど」  本当に行動が早いから嫌になるんだよな。愚痴めいたそれに、苦笑で応える。それも本当に、昔よく聞かされた話だった。  滅多と愚痴を言わないくせに、寮の部屋でふたりきりになると、甘えるようにぽろりと漏らすことがあった。あの当時に、甘えている自覚があったのかどうかは知らないが。

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