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パーフェクト・ワールド・エンド15-7
そうか、と同じ相槌を向原は繰り返した。自分が言っている言葉の意味合いを理解しているのだろうかと思いながら。
成瀬の言うように馬鹿だとも思ったが、こうでなければ成瀬ではないのだろうとも分かっていた。昔から、この男はそうだった。
頑なで潔癖で融通が利かなくて、まっすぐなようでいて歪んでいるのに。結局のところで、成瀬は最後まで成瀬だった。
そういうところに興味を持って、生きにくいやつだと呆れもした。それでも、だからこそ壊してやったほうがよほどいいだろうと思った。成瀬が縋りついていた最後の砦を。
それもすべて自分の勝手だと、少なくとも向原は理解している。
「うん。それだけ」
だから、と変わらない調子で続けて、成瀬がまた足を踏み出した。寮の扉に手をかける。
「気にしなくていいよ、ぜんぶ」
薄暗がりのなかに明かりが広がって、出迎える茅野の声がする。まぁ、馬鹿は馬鹿だな。心中でだけ苦笑して、向原も寮のなかに足を踏み入れた。
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