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パーフェクト・ワールド・エンド15-9
「大丈夫、大丈夫。それよりごめんな。茅野。うちの親が迷惑かけて」
「いや、それはいいが」
「ただの気まぐれなんだろうけど、それを実現させるために自分の権力を湯水のように使うから面倒で」
「……おまえ、さすがに実の親に辛辣すぎるだろう、それは」
「俺と似てるから、つい」
否定できなかったのか、茅野が一瞬黙り込んだ。生じた間に成瀬が笑う。なんでもないことだと主張するように。いつも通りの「会長」の姿を体現するように。
今度こそ馬鹿らしくなって、向原は無言でその場を離れた。階段を上る。声は小さくなっていくが、それでもさきほどあったことを話しているのは分かった。
馬鹿らしいと思うことは、いくらでもあった。それこそ、本当に昔から。
例えば、この世界の絶対的な基盤であるバース性のこと。
生まれ落ちた段階で、人間は絶対に平等ではないということ。
より優れたアルファが権力を掌握するのは必然であるということ。
それが普遍とされる世界で、根底から覆そうとしている人間がいること。
結局、その人間が一番アルファだとかオメガだとかそういったバース性の呪縛から逃れられていないということ。
そのしがらみのすべてを取っ払ってやれば、多少は息がしやすくなるだろうと思ってしまったときのこと。
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