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パーフェクト・ワールド・エンド15-11

「皓太」  うんざりと呼びかけても、その表情は変わらなかった。 「言いたいことがあるならはっきり言え」 「じゃあ、はっきり言うけど。俺個人としては向原さんの考えてることも分からなくはないし、前にも言ったと思うけど信用もしてる。だから本当に向原さんのやりたいようにしたらいいと思ってはいるんだけど」  それのどこが「はっきり」だよと思わなくもなかったが、そのまま続きを待った。  どうせ、まだまだあの二人は上がってこない。そして、皓太自身も分かった上で利用しているのだろうが、向原はそれなり以上にこの後輩のことを可愛がっていた。  話しかけられても無下にしようと思わない程度には。 「ただ、なんというか、榛名が気にしてるんだよね。水城のこと」 「あぁ」 「あぁって。相変わらずだな。まぁ、いいけど。これはこれで俺の勝手だし。だから、ただのお願いなんだけど」  そこまで言って、ふっと笑顔が消えた。 「必要以上に大事にしないでほしい」  今更な話だ。それもおそらく理解しているだろうに、あえて言ってくるということは、限界が見えてきているのかもしれない。  予想ではない。確信だ。また明日から、すべてが変わる。そう考えているのも、向原だけではない。

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