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パーフェクト・ワールド・エンド16-3
「なに、それ。なんで」
「俺もはっきりとは分かんないけど、でも、そう言ったんだよね。たしかに」
それで、とまた少し言いにくそうに四谷が言葉を切った。そんなふうに何度も言いよどまれるようなことなのか。募ったのは不安だ。
「どういうふうに解釈するかは、人それぞれだと思うよ。実際にどういう意味で言ったかなんて分かるはずがないんだし。でも、この時期にそういった言葉を耳にすると、ひとつの仮定しか導きようがないというか」
だから、この状態なんだよ、と四谷は小声で言い切った。
「榛名は知っておいたほうが良いと思って。高藤には余計なこと言うなって言われるかもしれないけど。でも」
「いや、教えてくれて助かった」
高藤が言い渋った理由は思い当たるから、責めるつもりはない。と言ってもそれは四谷が言うような「過保護」からではなく、単に行人に詰め寄られる未来が予見できて面倒だっただけだろうが。
そこまで考えて、ふと行人のなかに疑念が沸いた。
「今日の朝ってさ。成瀬さんいたっけ」
「え? ……いや、というか、榛名が気が付かなかったんだったら、いなかったんじゃない?」
「だよな」
「茅野先輩はいたし、あんまり気にしてなかったけど。ほら、基本的にあの人たちのなかで一番うるさい……いや、声が大きいのは茅野先輩だから」
だよな、と相槌を繰り返した。今思えば「いつも通り」を演じてくれていたのかもしれないが、茅野と柏木のやりとりは響き渡っていた。
「というか、会長がいなかったからあれだけ煩かったんじゃない? そういえば、副会……じゃない、向原先輩もいなかったような」
立ち上がりかけた行人の制服を、四谷が慌てて引っ張った。
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