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パーフェクト・ワールド・エンド16-8

 席に座るなり、書類の整理を再開した篠原が、「それで?」と声だけで続きを促した。 「どっちに用があったのか知らねぇけど、どうした? 皓太なら教室に行ったほうがって、……水城いるし嫌だわな、おまえは」 「いや、まぁ、嫌は嫌ですけど。べつに」 「成瀬は、ほらあれだ。あいつ結構ふらっと姿消すから」  だから今日はいないとあっさりと言われて、行人は首を捻った。 「え? 朝から?」 「あいつ、結構さぼってるぞ。よくある、よくある。まぁ、今はなぁ、気持ちは分からなくはないから、あんまりうるさくは言いたくねぇけど」  はぁと行人は曖昧に相槌を打った。そういえば、高藤も似たようなことを言っていた。  よくひとりでふらりといなくなる、だとか。人気のないところを探すのが抜群に上手くて、そういうところに隠れてるけど、おまえは行くなよ、だとか。 「ま、放課後には出てくると思うから、それくらいにまた来るか? それか夜に寮の部屋に行くか」 「ですよね」 「同じ寮なんだから、それが一番確実だろ。夜まで待てない話だったのか?」 「……いや」 「安心しろ。妙な噂が頻発してる場所がどこかってなったら、おまえら一年の棟だ。俺らのところじゃない」  どこまで承知しているのか分からなくて言葉を濁した行人に、視線を上げないまま篠原が苦く笑った。 「それに、今までそんな噂が一度も立たなかったと思うか? おまえが入学する前はもっとえげつなかったぞ。俺らが中等部の一年、二年だったころは」

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