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パーフェクト・ワールド・エンド16-10

 気をつけて戻れよと追いやられるかたちで、行人は生徒会室を出た。まだ昼休みは半分ほど残っているはずだが、生徒会室のあるあたりは騒がしい声が聞こえることもなく静かだ。  一年の棟に向かう手前で行人はふと足を止めた。ちょうどこのあたりだったと思い出したからだ。  高藤が言っていた、「あまり自分は近寄らないほうが良い場所」。つまり、成瀬の好む避難場所。いると思ったわけではないが、妙に気になったのだ。  窓辺に寄って外を見下ろす。中庭や裏庭に通じるでもない校舎裏は、たしかに生徒が好んで寄り付く場所ではなさそうだった。  こういう静かなところでひとりになりたいと思う気持ちは分からなくもない。そう思ってから、あ、と行人は小さな声を上げた。  ――そうか。ここ、生徒会室が見えるんだ。  逆もしかり、だ。生徒会室からも見ようと思えば見ることのできる場所。  その事実がなにを意味するのかも悟ってしまって、行人は息を詰めた。篠原や茅野、高藤の言うことが正しいのかもしれない。自分が首を突っ込む理由は、なにもなかったのかもしれない。  視線を外して歩き出そうとした瞬間、人影がふたつ現れた。予想もしていなかった組み合わせに視線が外に釘付けになる。  ――あれって、水城と向原先輩だよな。  良くも悪くも両人とも目立つのだ。遠目とはいえ、見間違えるはずがない。

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