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パーフェクト・ワールド・ハルⅦ-19

 それは、きっとそうだ。言われなくとも、その未来は簡単に予見できる。けれど、と思う。もともと行人は受けが良いタイプの立ち位置にいない。誰と揉めたってそうなるだろうし、今までだって、そうだった。 「愚痴くらい、あとで聞いてやるから、俺が、いくらでも。なにかあっても、苛立っても、多少の理不尽は、黙って呑み込め」 「どうかしたのか、おまえ」 「なにが」 「そんなこと、おまえ、言わないじゃん」  だから、どうとも上手く言えないのだけれど。遮られる形になって、高藤が微かに眉を上げて。けれど、諦めたように笑った。 「俺だって、苦手な人間くらいいるよ」 「そりゃ、そうかもしれないけど」 「優先順位だって、つけるよ。それだけ」  櫻寮の面倒を看なければならない、と言う立ち位置として、なのだろうか。どこか投げやりに言って、話を終わらせた高藤に、行人は引き留めるように声をかけた。 「おまえの愚痴も聞くからな、俺で聞けることなら」  意外だったのか、高藤は、静かに行人を見返して、 「説教してたの、俺のつもりだったんだけどな」とだけ言った。

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