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パーフェクト・ワールド・ハルⅧ-2
「おまえにばかり押し付けて多少は悪いかと思ったんだが、バランスを優先させるとそうなってしまってな」
「バランス……」
「おまえと同室、と言うのが、一番問題が起こりにくい」
さも当然と茅野が口にしたそれに、皓太は上手く頷くことが出来なかった。
「逆に、俺といるから、眼を付けられているんじゃないですかね、あいつは」
「そうとは限らんだろう。本人にとっては残念な話かもしれんが、目立つ面をしているからな、あいつも」
苦笑気味に、茅野が言葉を継いだ。
「榛名が、まぁ……何と言うか、異性しか対象に出来ないと言うタイプであれば、また違ったかもしれんが。あの顔で、『成瀬さん、成瀬さん』と尻尾を振っていれば、同性もイケると思われても致し方ない」
「……」
「もともと、この学園はアルファが多いから。そう言う意味での垣根も低いしな」
「珍しいですね、茅野さんがそんな話をするのも」
「寮長としては自由恋愛を勧める訳にはいかんからな、当然だろう。おまえもそうなりたい相手がいるのなら、止めはせんが、寮内で手は出すなよ」
この学園の中で、そんなことをするつもりは、皓太にはなかった。ただそれはあくまで自分の感覚で、そうでない人間が多いことも知っているけれど。
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