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パーフェクト・ワールド・ハルⅨ-2

「まさにナイトだね、あれも」 「……だな」 「確かに可哀そうだけどね。ウチが正攻法だったら、きっとハルちゃんが優勝していただろうし。ミスコンの得点でみささぎ祭の勝ち負け決まっちゃうから、ハルちゃんが責任感じるのも分からなくはないからなぁ」 「そうかもな」  純粋に水城の心情を慮っている荻原に、同調してみせてから、そんな自分に若干の嫌気が差した。なんだか、最近ずっと嫌な風にばかり考えている自覚はある。榛名がこの短期間で心を開き始めているのも納得する善良性のある、荻原と違って。  その荻原が時間を確認して、寮の方へと視線を飛ばした。 「そういや、遅いね。榛名ちゃん。大丈夫?」 「昨日、ちょっと調子悪かったみたいだから。ギリギリまで寝るって言ってたし、任せてきた。茅野さんからの説明が始まるまでには来るんじゃない?」 「調子悪いって大丈夫なの?」 「大丈夫でしょ。と言うか、子どもでもあるまいし、本当に調子悪かったら休んだら良いわけだし」 「あれ、冷たい言い方」  指摘されて、皓太は溜息交じりに言葉を継いだ。 「嫌がるんだよ、あいつが。俺が心配して見せると」 「ふぅん」  含みのある相槌に顔を向けると、荻原がにこ、と笑った。 「高藤は、榛名ちゃんのことはなんでも分かってるんだなぁと思って」  そんなこと、あるわけがない。  一緒に過ごす時間が長いから、他の同級生よりは多少、知っているかもしれないけれど、それだけだ。友人なのかとさえ、はっきりとは言い難い。同室者と言う表現が四年経った今でも、一番しっくりくるような気さえする。そして、それはお互い様の認識に違いない。  だから、どうだと言うわけではないのだけれど。

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