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パーフェクト・ワールド・ハルⅨ-6
「写真撮影禁止って言っても、なかなか際限がないよね。素直に聞いてくれるだけ良いけど」
「生徒会からも強い要望が出てるんだったっけ、確か。茅野さん、朝も言ってたもんな。徹底しろって」
「そうそう。俺も良くは知らないけど、去年ネットに流出して大騒動だったらしいから」
写真撮影、動画撮影、見かけ次第、注意。データ削除の要請。素直に聞き入れて頂けないようであれば、本部に連行。茅野がやたらと真面目な顔で言っていた背景から察するに、学園側からも厳しいお達しが下っていたのかもしれない。
「まぁ、基本的に、ウチの人間と繋がりがないと入れないはずだから、マシはマシかもね。分かってくれている人も多いはずだし。そういや、おまえは誰かに渡したの。入場券」
門の前で受付を済ませた人間しか、学園内には入れない。在校生一人に付き二枚まで配布されている入場券を貰った人間か、現在校生の身内、卒業生、あとは姉妹校の陵女学院の現役生だけだ。市場では入場券にプレミアが付いているらしいとも聞く。陵学園のアルファに逢えると言うことが、たまらない付加価値らしい。
「渡してない。外に友達いないし」
「あっそ」
「外にも、って思ってないか、おまえ」
「思ってないって。なんでそんなに被害妄想なわけ。そもそもいるじゃん、べつに。ここなら」
「……おまえとか?」
「べつに、荻原でも誰でも。最近は四谷ともたまに喋ってるじゃん」
おまえが談話室で誰かと喋っているところなんて、初めて見たよ、俺は、と。良く分からない感慨を抱きながら、続ける。
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