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パーフェクト・ワールド・ハルⅨ-16

 そこでふと一つ、皓太は腑に落ちた。  俺が一番怖かったのは、もしかしたら、これだったのかもしれない。学園が変わろうとしていることも、異分子の出現も、そのどれもが、嫌な感じを増幅させるものではあったけれど、けれど、それだけなら良いとさえ思っていた。  自分が変わらないなら。榛名が変わらないなら。茅野が、荻原が、向原が、成瀬が変わらないなら。今まで通りで在れるなら。  けれど、そうでなくなってしまう。その未来と予兆が直結しているから、たまらなかったのだと思い知った。こんな、際になって、やっと。  なぜか不意に、まっすぐに自分を見つめていた榛名の瞳を思い出した。  ――言葉にするのなら、簡単だ。ただ、したくないだけで。  あのとき、確かに胸に過ったのは執着心のような独占欲だった。同室者だから? 自分が今まで庇ってきてやったつもりでいるから? そのお株を取られたようで寂しいだとか、悔しいだとか。  理路整然と説明しようと思えば出来るかもしれないそれは、けれど、認めたくはないもので。  ――あぁ、でも、そうだな。  ふ、と思った。それとは少しまた話が違うけれど、でも。  あいつは、泣くだろうなと思った。もし、この学園が変わったら。この人が絶対の王でなくなったら。

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