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パーフェクト・ワールド・ハルⅨ-17

 ミニ運動会が行われていたグラウンドの中心に設置されたステージは、今日一日中で一番の華やぎを見せている。最後の結果発表を前にして、集う人数も本日一、だ。  集計を担当していたメンバー以外は混乱を防ぐためにと警備に充てられていて、皓太も観客の最後列から周囲を見ていた。無駄に騒ぐような集団も、カメラを構えているような人物もいないのは幸いだが、中等部の文化祭に比べれば人出は雲泥の差だ。  噂には聞いていたが、活気が違う。  ――その中で、一位を選ぼうと言うのだから、盛り上がるのはある意味で当然なのかもしれない。  ただの人気投票ではないかと投げやりに思っていたのは事実だが、それだけには納まらないことも実感してしまう。  舞台のマイクの音が若干割れて響いているが、ご愛敬だ。客席からも文句は出る気配はなく、視線は一心にステージへと集まっている。  そちらの問題はないのだろうけれど、と。胸に残る何とも言えない感情が込み上がりかけて、皓太は無理やり呑み込んだ。今はあまり思い出したくない。溜息を吐いて視線を上げた瞬間。不意に誰かが隣に立っているのに気が付いた。 「本尾先輩」  何か事務連絡でもあっただろうかと振り仰いだ先にいたのは、意外な人物で。驚いた声になった皓太に、本尾が笑った。

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