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パーフェクト・ワールド・ハルxx-1

xx  遠い、と言ってしまったのは、正に「言ってしまった」で、つまりどう言うことかと言うと、言うつもりなど全くなかったと言うことで、言うべきことでもない、と言うことだった。  櫻寮の食堂に寮生が会した慰労会は、笑い声が絶えず祝賀会の雰囲気に満ち満ちていた。  同級生たちの輪の隅で、行人は曖昧な笑みを浮かべたまま、場内をそっと見渡した。中等部のころに比べれば、真面な受け答えが出来るようになったのではないかと自負している。けれど、それとは別問題で、やはり肩は凝るし、気を張っている分、疲れもする。  ――でも、だからって、さすがにここで一人寮室には戻れないしなぁ。  そう思えるだけの分別があって何よりだ、と苦笑いを浮かべてくれただろう同室者の姿は同じ輪の中にはない。  少し離れたところで、茅野や柏木たちと話し込んでいることは分かっていたが、なんとなくそちらに近づくことは出来なかった。  ――べつに、誰とでも喋れるでしょ、榛名は。  良かったじゃん、と言うように。けれど、その声は、どこか遠かった。  投げやり、とでも言えば良いのだろうか。突き放された、の方が近いかもしれない。少しずつ詰めていたはずの距離を不意に一挙に戻されたような気が、して。

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