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パーフェクト・ワールド・レイン00-1
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「おまえ、とんでもないものに手ぇ付けたなぁ」
みささぎ祭明けの学園は、まだどこか喧騒の名残がある。仕事を理由に一人成瀬が籠っていた生徒会室のドアを開いたのは篠原だった。
呆れと言うよりかは疲れているらしい口調に、楓寮の状態が眼に浮かぶ。
「べつに。今までもいないことはなかっただろ。ああ言った手合いは」
「分かってると思うから敢えて言うけど。それとこれとは決定的に違うだろ」
会長の決済机の傍までずかずかと歩いてきたかと思えば、そのまま机の端に腰を下ろした。握っていたペンを離して、視線を上げる。篠原が嘆息混じりに笑った。
「『オメガの』ハルちゃんは」
「オメガだアルファだ、そんなものがそんなに重要かよ」
オメガ潰しだ、と囁かれていたのは知っている。櫻寮は劣等種であるオメガに栄光を握らせたくなかったから、反則すれすれの手でもって優勝を奪っていった、らしい。
それの全部を全部、否定はしないけれど。
「まぁ、それは俺も賛成だけど。と言うか、俺だって言いたくて言ってるわけじゃないんだけどさぁ、これでも」
「じゃあ、なんだよ」
「向原と茅野が脇を固めてる櫻寮だと、感覚が狂うだろうって話だよ。まぁ、俺も楓だから、逆方向に狂ってそうだけど」
「篠原」
「んー? それかおまえも一回、ウチに来てみるか? 三年はまだともかくとして、一年と二年は結構、キてるぞ、ガチで」
「おまえ、皓太に余計なこと言っただろ」
瞬間、先程とはまた違う呆れの色を含んで、篠原が鼻白んだ。
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