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パーフェクト・ワールド・レイン00-2

「保護者か」 「半分は否定しない。あいつの親にも入学する前に頼まれてはいるし」 「はいはい、良いお兄ちゃんで。……と言うか、べつに余計なことではねぇだろ、余計なことでは」  やけくそ気味に篠原が言い募る。 「それに言わない方が可哀そうだろ。そもそもとして、言わなくてもあいつは薄々ぜんぶ感づいてるんだ。だったら、相談出来る場所の提供もかねてだな、ちょっとくらい手ぇ出しても、そんな、あれだ」  黙ったまま注がれる視線に耐えかねたのか、純粋に言葉に詰まったのか。投げやりに篠原が説明を終わらせる。 「だから、良いだろ。べつに」 「助けてやるつもりなら、もっと整えてからにしてやれよと俺は思うんだけど。どうせ、言いたいことだけ言って丸投げしたんだろ。それが可哀そうだよ。煮詰まった顔させてやるなって」 「おまえの考え方が基本的に傲慢なんだよ。そら、おまえがそこで踏ん反り返っていられる間は良いだろうよ、でもそうもいかねぇだろう。少なくとも、来年の今頃には俺らはいないわけで」  そこまで言って、ふと篠原が言葉を止めた。何かに思い当たったように。足元に落としていた視線を上げて、振り返った。

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