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パーフェクト・ワールド・エンド17-8
「どうなってる?」
「あぁ。おもしろいくらいパワーアップしてるぞ」
なにがとは聞かなくてもわかる。だから、「そうか」とだけ相槌を打つ。
「まぁ、なんだ。悪かったな、寮内で抑えてやれなくて」
「それこそ、茅野が謝るような話じゃないだろ」
本心から、成瀬はそう言った。茅野に期待をしていないという話ではなく、人の口に戸は立てられないと知っているからだ。
秘密を守ろうとする奇特な人間もいるだろうが、全員ではない。それなのに茅野は苦い顔で首を振った。
「生徒会長は、学園の平和を守るのが仕事だろう」
「そこまで王様を気取ってるつもりはないんだけど」
「べつに誰もそこまでは言っていないが、だが、おまえは少なくともここを荒そうとは思ってはいないだろう」
「まぁ、……それはそうだけど」
「俺もそれと同じでな。できる限り、寮内の平和は守ってやりたかったんだが」
「十分だって」
それもまた本心だった。「茅野が寮長でよかったと思ってるよ、本当に」
「そうか」
校舎に入る手前で、茅野がふと真顔になった。
「おまえに言う台詞でもないとは思うが、なかなかだぞ」
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