459 / 1144

パーフェクト・ワールド・エンド17-8

「どうなってる?」 「あぁ。おもしろいくらいパワーアップしてるぞ」  なにがとは聞かなくてもわかる。だから、「そうか」とだけ相槌を打つ。 「まぁ、なんだ。悪かったな、寮内で抑えてやれなくて」 「それこそ、茅野が謝るような話じゃないだろ」  本心から、成瀬はそう言った。茅野に期待をしていないという話ではなく、人の口に戸は立てられないと知っているからだ。  秘密を守ろうとする奇特な人間もいるだろうが、全員ではない。それなのに茅野は苦い顔で首を振った。 「生徒会長は、学園の平和を守るのが仕事だろう」 「そこまで王様を気取ってるつもりはないんだけど」 「べつに誰もそこまでは言っていないが、だが、おまえは少なくともここを荒そうとは思ってはいないだろう」 「まぁ、……それはそうだけど」 「俺もそれと同じでな。できる限り、寮内の平和は守ってやりたかったんだが」 「十分だって」  それもまた本心だった。「茅野が寮長でよかったと思ってるよ、本当に」 「そうか」  校舎に入る手前で、茅野がふと真顔になった。 「おまえに言う台詞でもないとは思うが、なかなかだぞ」

ともだちにシェアしよう!