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パーフェクト・ワールド・エンド17-9
わざわざ二度目の忠告をくれるあたり、相当らしい。
――まぁ、しかたないな。
そうなるだろう要素が揃っていたところでの駄目押しがあっただけだ。この時間帯まで姿を現さなかったことも、噂に拍車をかけただろう。だから、なんでもない顔で成瀬は笑った。
「昔で言うと、どのくらい?」
「中等部のときで言うと、向原が本尾と派手にやり合って謹慎を食らったことがあっただろう」
「あぁ、あったな」
「その謹慎明けくらいの注目度だと思っておけ」
「了解」
ちょうど三年前の話だ。もう三年も経つのかと思うと同時に、たった三年しか経っていないのかとも思うから不思議だ。
あのころはまだ、「今」がずっと続いていくような幻想があった。
「茅野。俺、今日は教室にはもう行かないから」
じゃあと背を向けようとしたところで、「成瀬」と呼び止められた。振り向くと、変わらない真面目な顔と目が合った。
「おまえ、あのあとに派手に風紀を叩いて見せただろう」
昔の話を引っ張り出されて曖昧に笑う。その逃げを封じるようにして、茅野は淡々と言い募った。
「しないのか」
「どうだろうな」
一拍おいて、成瀬も静かに答えた。じゃあなと言っても、今度は引き留められなかった。
嘘は言っていない、つもりだ。あのときと今とでは、状況が違う。あのときと同じようにすることが正解だとも思いきれない。
――それに。
そこまで考えて、それ以上を成瀬はやめた。
あのころは、なんでもできるような気がしていた。ひとりではないというような馬鹿な自負があった。
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