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パーフェクト・ワールド・エンド18-1
[18]
「あいつのあれは、嫉妬みたいなものなんだよ」
それが、祥くんに本尾先輩との確執を聞いたときの第一声だった。困ったように、けれどしかたないという顔で。なんでもないということのように彼は続けた。
「だから、俺がなにやっても変わらないの。向原と本尾がどうにかしない限りは」
「つまりそれって、どういうこと?」
純粋にわからなくて皓太は問いかけた。向原と本尾の仲が良くないということはわかる。けれど、べつにそこに成瀬が巻き込まれる謂れはないのではなないだろうか。
敵の友達は敵、なんて。そんな小学生みたいなことを言うような人ではさすがにないだろうし、と皓太は考える。実際に、本尾が篠原や茅野といがみ合っているところを見たことはほとんどない。
自分に絡んでくるときのように、遊び半分暇つぶし半分で声をかけているところは見たことはあるが。それにしたって、成瀬とやり合っているときのようなきついまなざしを向けられたことなんて――。
どうなんだろうと悩み始めた皓太の頭を成瀬の手が撫ぜていく。そして「いいよ」と眉を下げた。
「皓太にはまだちょっと難しいかな。いや、わからないならわからないままのほうがいいか」
子ども扱いをされたと思って、「わかるよ」と皓太は見栄を張った。成瀬は「そうか」と笑って、それ以上はなにも言ってくれなかった。
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