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パーフェクト・ワールド・エンド18-3

「なんかいいな」  邪気のない相槌に、皓太は内心ぎょっとして視線を同室者に向けた。陵学園の中等部に入学して早数ヶ月。  はじめての寮生活で緊張しているのもお互いさまでストレスが溜まっているのもお互い様だと言い聞かせてやり過ごしてきたものの、ずっと自分の殻にこもっている榛名に、いろいろと思うところは溜まってきていたのだ。  ――こいつ、こんな声も出せたんだな。  それを引き出しているのが、苦心しながらもやりとりを重ねている自分ではなく、さして接点もないはずの幼馴染みだと言うのは、なんだかなと思わなくもないけれど。  まぁ、でも、「恩人」みたいなもんなんだろうし。しかたないかと皓太は割り切った。  その後処理に追われて珍しく茅野がげっそりとしていたのだが、皓太が言うようなことでもない。  知らないなら知らないままでいいと思うし、茅野も寮長として仕事をしただけで榛名に恩を売りたいわけでもないだろう。  ただ、少しだけ腑に落ちないことがあるとすれば。  ――素行に問題がある人たちではあったらしいけど、だからって、退学処分は重すぎないか?  榛名の一件も、榛名には口が裂けても言えないが未遂だったわけだし、本来であれば、こんなふうな大事にはならなかったはずだ。

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