471 / 1144
パーフェクト・ワールド・エンド18-8
「会長って、アルファだよな」
「え?」
予想外の問いかけに皓太は目を瞬かせた。それ以外にありようがない。無論、直接聞いたことはないけれど。その皓太の様子に、慌てたように上級生が弁明する。
「いや、悪い。当たり前のこと聞いた。そりゃそうだよな」
否とも応とも答える前に、そう言われてしまって、皓太は曖昧に頷いた。
「茅野先輩が言うかどうかはわからないけど、今、三年生のなかでそういう話が面白半分で出てるらしくて。ほら、なんだ。このあいだの一件の尾びれが変なふうに付いたってだけなんだろうけど」
このあいだの一件という言葉が妙に胸に残って、反応がまた遅れてしまいそうになった。なんでもない顔を取り繕って、応じる。
「ですね。まぁ、……ただの噂でしょうけど」
言うつもりはないが、一年の棟は違う噂が蔓延っている。成瀬には悪いとは思うが、三年生のあいだでそれが流行っているのなら有り違い。そちらに集中しているあいだは、こちらの噂が目立つことはないだろう。
――まぁ、退学者まで出たから、しかたないよな。
くさってもお坊ちゃま学園なのだ。めったなことでは退学者は出ないと聞いた。今回も中等部から、――それも同時に何名も出たのは本当に異例のことだったと。
そのあたりも含めて、荒れているのだろう。そう思うことで、皓太は自分を納得させた。
榛名には言わないほうがいいだろうなとは思ったが、それだけだ。聞けば無用な心配をあの同室者はするだろうけれど、本当に無用な心配だ。
ともだちにシェアしよう!