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パーフェクト・ワールド・エンド18-9
そんな噂があったところで、成瀬が困るはずがないし、手に余るはずもない。
どうとでもするだろう。向原でも茅野でも篠原でも、周囲に十分すぎるほど頼りになる人間がいるのだ。
皓太が気にするようなことではない。それにしても、突拍子もない噂が出たもんだなとは思ったけれど。それもどうせ生徒会の反対勢力から沸いた誹謗中傷の類と変わらないものだろうと思えば腑に落ちる。
けれど、また三年もの月日が経ってから、あのときとはまったく違う心境で、その噂を聞くことになるとは思いもよらなかった。
「おまえさぁ、五限絶対に出ないと駄目?」
目の下に隈をつくった篠原に請われて、皓太は苦笑いを浮かべた。相当やられているらしいことはわかったが、素直にうんとは言いづらい。
「絶対に駄目ってことはないですけど、後々あんまりよくないんじゃ」
サボっているあいだに生徒会の仕事をやっていた、だなんて。まったく胸を張れることではない。教師陣からの印象が悪くなるのも今後のことを思えば避けたいところだ。
一拍おいて、「だよなぁ」と篠原が盛大に溜息を吐いた。
「放課後も手伝いますし。そのころには成瀬さんも来るんじゃないですか」
「まぁ、なぁ」
「どうかしたんですか?」
嫌そうに頷かれてしまって、皓太は首を傾げた。べつにサボっていることが特段に珍しいというわけではない。昨夜の件が気になると言えば気になるが、成瀬のことだ。あのくらいでやられるようなかわいい神経はしていないだろう。
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