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パーフェクト・ワールド・エンド18-11

 篠原から視線を逸らして、皓太も自分のために用意されている席に座った。やらないといけないことはいくらでもあるのだ。それが少しだけありがたかった。 「こんなことは俺も言いたくないけどな。このまま成瀬がなにもする気がないなら、覚悟しといたほうがいい」 「覚悟って」  笑おうとして失敗した。うんざりとした顔を隠さないまま、篠原が言う。 「あいつが頂点から引きずり降ろされるところを目撃する覚悟だよ」 「だって」   考えるより先に反論が口をついた。 「だって、でも、言ったじゃないですか、篠原さん。俺らの代はわからないけど、今は大丈夫だって。それに祥くんも」 「あいつがなにを言ったのかは想像つくけどな。それ言ったの、みささぎ祭の前だろ」  こともなげに言い当てられてしまった。黙った皓太に構うことなく、篠原が溜息を吐いた。 「あのころのあいつはそう思ってそう行動してたんだろ。俺もそれがわかったから、おまえにそう言ったんだ。でも、なんだ。最近のあいつは、俺にはよくわからない」  そこで一度区切って、書類を放り投げるように机に置く。それを皓太はただ見ていた。

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