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パーフェクト・ワールド・エンド18-12

「まぁ、向原にも頼まれたから。最後まで付き合ってやるつもりではいるけどな」 「篠原さん」 「おまえがなにを言わなくても、成瀬が言わなくても、茅野も最後まで付き合うだろ。茅野が付き合ったら柏木が付き合う。だから、櫻寮は最後まで付き合う。他はどうだろうな」  今度こそなにを言えばいいのかわからなくなってしまった。篠原が榛名には語らなかった理由はよくわかってしまったけれど。  その予想は、榛名には耐えがたいもののはずだ。 「正直ここまであいつがなにもする気がないとは思わなかった」 「でも、それは……」 「身も蓋もないこと言ってやろうか? 人間な、おもしろいほうに付くんだよ。この場合、どっちがおもしろい? 現状のトップに肩入れするか、それともこの学園に突如として現れたオメガの新勢力か」  物わかりの悪い子どもを言い諭すように、篠原が続ける。 「ちょっと考えればわかるだろ」  わからない、わけじゃない。ただ。  やるせない気分で、皓太は立ち上がった。空気を入れ替えようと窓に手を伸ばす。  ――なんだ、この匂い。  かすかに外から甘い匂いが届いたように思えて、首を捻る。窓を開けると、一段のその匂いがきつくなった。 「匂うな」  いつのまにか隣に来ていた篠原が、うんざりと呟く。その横顔にぎこちなく視線を移す。 「篠原さん、これって……」 「どこの馬鹿かは知らねぇが、オメガだろうな。なんだって、この時期に」  嫌そうに吐き捨てた篠原の手が窓を閉める。 「来るぞ、もうひと荒れ」

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