486 / 1144

パーフェクト・ワールド・エンド19-11

「なんとかって、どいつもこいつもアルファは好き勝手に言いやがって……」  座り込んだまま、成瀬が苛々と吐き捨てた。 「効かねぇんだよ、おまえのせいで」  おまえのせいだ、という台詞をその口から聞いたのは、二度目だった。 はっとしたように成瀬が口を閉ざす。  そうして効かないと言い切ったばかりの錠剤を鷲掴む。明らかにオーバードーズだ。  錠剤を噛み砕く音に、一拍遅れて茅野が問いただした。 「どう考えても飲みすぎだろう。なにを飲んだ」 「効く気しねぇけど抑制剤。あと避妊薬」  ぶっきらぼうに言い捨てて、成瀬が立ち上がる。 「ヤんのは仕方ないにしても、さすがにできたら困る」 「できたらって……」 「なんだよ。どうにかしろって言ったの、茅野だろ」  絶句した茅野を冷めた目で笑って、その横を通り抜けようとする。その腕を慌てて茅野が掴んだ。

ともだちにシェアしよう!