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パーフェクト・ワールド・エンド19-16
答える気はなかったが、茅野もそれ以上は問わなかった。どうであったとしてもいまさらだとお互い承知していたからだ。
少し待っていてくれと言い置いて茅野が廊下に出て行く。話している声が耳に障って、向原はうんざりと天井を仰いだ。
「それ……」
連れられて入ってきた榛名は、さきほどの茅野と同じようにテーブルの上のものに目を止めた。
「あぁ、おまえも服用してるんだったな。同じものか……、と、すまない。立ち入って聞くようなことじゃなかったな」
「いえ」
困惑したような顔のまま、榛名が首を横に振った。
「茅野さんが興味本位で聞く人じゃないってことは知ってますから、べつに」
触っていいですかと断って、手を伸ばす。静かな面持ちでカプセルの類を確認してから、ぽつりと呟く。
「俺も軽いものじゃないんですけど、もっときつい薬なんじゃないかな」
「ちなみに、それはだいたいどのくらいの量を一度に飲むものなんだ?」
「え?」
「あぁ、いや、……あいつが馬鹿みたいに飲んでてな。ちょっと気になって」
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