491 / 1144

パーフェクト・ワールド・エンド19-16

 答える気はなかったが、茅野もそれ以上は問わなかった。どうであったとしてもいまさらだとお互い承知していたからだ。  少し待っていてくれと言い置いて茅野が廊下に出て行く。話している声が耳に障って、向原はうんざりと天井を仰いだ。 「それ……」  連れられて入ってきた榛名は、さきほどの茅野と同じようにテーブルの上のものに目を止めた。 「あぁ、おまえも服用してるんだったな。同じものか……、と、すまない。立ち入って聞くようなことじゃなかったな」 「いえ」  困惑したような顔のまま、榛名が首を横に振った。 「茅野さんが興味本位で聞く人じゃないってことは知ってますから、べつに」  触っていいですかと断って、手を伸ばす。静かな面持ちでカプセルの類を確認してから、ぽつりと呟く。 「俺も軽いものじゃないんですけど、もっときつい薬なんじゃないかな」 「ちなみに、それはだいたいどのくらいの量を一度に飲むものなんだ?」 「え?」 「あぁ、いや、……あいつが馬鹿みたいに飲んでてな。ちょっと気になって」

ともだちにシェアしよう!