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パーフェクト・ワールド・エンド19-17

 そうですか、と言った切り、榛名は手のひらに乗せたカプセルに視線を落として黙り込んだ。  そうしてから顔を上げる。 「質問の答えになっていないかもしれないですけど。前提として、俺は処方された以上の薬を飲んだことはないです。けど、それでも副作用はあります。頭痛、吐き気。そういったものをずっと俺は抱えていました。たぶん、成瀬さんも」 「そうか」 「……成瀬さんは、だから俺に、『つがいをつくったらいい』って言ってくれたけど。それだけきついんです。でも、服用さえすれば、なんとかベータとして生きていくことができる。だから俺たちは飲むんです。でも」 「でも?」 「風邪薬を大量に飲んでも治らないですよね? 症状がマシになるわけでもないですよね。抑制剤もそれと一緒です。必要以上の量を飲んだところで、効果が変わるわけがない」  そこまで告げてから、窺うように茅野を見上げる。 「そんなこと、成瀬さんがわかっていないはずはないと思います、けど」 「まぁ、なんだ。……効かないと言っていたな」  再び沈黙が訪れる。こちらが痺れを切らすとでも思ったのか、茅野が無理やりのように話のトーンを変えた。

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