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パーフェクト・ワールド・エンド19-18
「おまえが話したいと言っていたのに、聞いてばかりで悪かったな。それで、おまえの言う話というのは……」
「茅野さん」
問いかけを遮って、榛名が口火を切った。ろくでもないことを決めたという顔で。
「俺だっていうことにしておいてください。俺はもうバレてるし、まだ発情期が安定してないんだってことにしたらなんとでも」
「気持ちはありがたいがな。おまえには高藤がいるという設定があるだろう。無理がある」
それに、と言いにくそうに茅野が言葉を切った。隠し通せるはずがないとわかっているのだ。
どうせ明日になればわかることなのに、健気なことを言い出した一年に伝えにくいのか、言葉を探すように沈黙している。面倒になって、向原は口を挟んだ。
「本尾に見られてる」
はっとしたように榛名が向原を見た。突き刺さる視線を意にも介さず、淡々と事実だけを告げる。
「無意味だ」
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