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パーフェクト・ワールド・エンド19-20
なんでそんな必死な声をおまえが出すんだ。そう指摘する代わりに、溜息を吐いてみせる。
面倒だった。なにもかも、すべてが。
「五年待ったんだろう。あと一年もないんだ。卒業するまでのあいだぐらい、待ってやれ」
だから、なんでおまえが言うんだよ、それを。苛々としたものを呑み込んで、視線を落とした。
似たようなことはたしかに言われた。茅野だけではない。篠原にも、皓太にも。あいつはなにも言わないままだった。
「なにも起こさせない。――おまえも含めて」
その言葉に、向原は視線を上げた。馬鹿みたいな真面目な面持ちのまま、茅野が言い募った。
「だから、頼む」
壁の向こうに意識を向ける。ここが五階でよかったなとどうでもいいことを思った。行動力のある馬鹿ほど手に負えないものはない。
「それも、こいつ次第だろ」
約束をした。もう、何年も前の話だ。きっと当時の自分も成瀬も、こんな未来を想像してはいなかった。
――いや、あいつは案外、もっと昔に壊されたかったのかもしれない。
ふとそう思った。こんな泥沼に浸かりきる前に。諦めのきくうちに。
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