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パーフェクト・ワールド・レインⅠ-1
[1]
「おまえって、決裁するのが趣味なわけ?」
「そう見えるか」
「見えないけど。と言うか、嫌味だけど」
人の顔をやたら見ているかと思ったら、これだ。中間考査が終わった五月の末。生徒会室には自分と篠原しかいなかったけれど、だからと言ってする仕事がないわけもない。むしろ中間考査が終わって、書類を持ってきた委員会や部活が多く、決裁書が溢れ返っている状態に近い。
とは言え、篠原は仕事をするわけでもなく、ただ居るだけではあるのだが。
「嫌味言ってる暇があるなら、手伝え、おまえも。すぐにまた山ができるぞ」
「良い、良い。俺は山になってから片付ける方が好きなの。と言うか、良いだろ、べつに。おまえもご存じの通り、面倒臭いんだよ、今。ウチの寮」
「それでこっちに居座ってるって?」
あぁ、また間違ってる。付箋を貼って、脇に除ける。型どおりに提出してくれたら、それでもう全部良しにするのになぁ、と。おざなりなことを考えていると、篠原の盛大な溜息が聞こえてきた。
「そうやって、しれっとしてるけどな。半分くらいおまえの責任だからな、ある意味で」
「もう半分は、水城だろう。間違いなく」
「まぁ、そうだけど」
それ以上の文句を言うつもりもなかったのか、篠原は苦笑一つで矛先を変えた。
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