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パーフェクト・ワールド・レインⅠ-4

「お久しぶりです、成瀬会長」  生徒会室から戻る途中の廊下で、かけられた声に足が止まる。夕暮れの陽ざしが差し込む校舎に残っている人間はほとんどいない。  そこに一人で立っていた人物は、少し意外ではあった。けれど、ある意味では順当だったのかもしれない。 「水城くん」  いつも誰かしらに囲まれている人間だ。その水城がここに一人で居ると言うことは、待っていたのかもしれない。面倒くさい、と思ったそれをおくびにも出さず、成瀬も微笑んだ。 「どう? 学園生活は。もう慣れた?」 「そうですね。寮生活は初めてですので、不慣れなこともありますが、とても楓寮で良くして頂いています」  にこりと愛想よく笑った水城の顔は、間近で見ても少女めいた美しさがあった。  ――これぞ、オメガって言うタイプの顔だよな、この子も。晴城も、そうかも、だけど。  成瀬の同級生の中にも、水城に対して目の色を変えているアルファは何人も存在している。今のところ、そのすべてを目の前の少年は上手く交わしているようだ。けれど、それがいつまで上手く続くのだろうか、とも思う。  水城は、上手く行かない未来など想像してもいないのだろうが。

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