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パーフェクト・ワールド・レインⅠ-7
「それは恐縮ですけれど。僕にも普通に生きていく権利はありますから。それとも会長は、オメガは全寮制の高校に通う資格すらないと、そう言いますか」
あなたの母親のように、オメガを排除するのか、と。問われた錯覚を覚えて、成瀬は小さく息を吐いた。オメガにも、普通に生きる権利はある。それは、この子どもの言う通りではあるとも思う。ただ、理想論だとも知っている。オメガは、そういう生き物だ。
「きみの目論見が上手く行かなかったときのことを心配している。俺個人としても、この学園の生徒会長としても」
水城の表情から、一瞬、笑みが消える。けれど、一瞬だ。
「どうぞ、ご安心を。僕が、あなたに助けを求めるようなことはありませんから」
「まぁ、そうだろうね」
そうなる未来は、成瀬には想像できない。ただ、その笑顔でこの学園をかく乱していくだろう様は、簡単に想像できる。
「あなただったら、どうしますか。会長」
「俺だったら?」
「そう、あなたがもし、オメガだったらどうしますか、と聞いてみたんです。僕のやり方は正しくないんでしょう?」
見上げて来るその瞳に宿る感情に、成瀬もまた小さく笑った。
「誰にも言わない」
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