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パーフェクト・ワールド・レインⅠ-8

 水城は何も言わなかった。気にせず成瀬は続けた。気負いなく。 「誰も巻き込まない。一人で生きていく」  自分の弱点を晒して歩くような生き方をするつもりもなければ、アルファに庇護を求めるつもりもない。 「俺だったらね」  にこりと微笑んでみせた先で、水城がゆっくりと瞳を細めた。 「僕が誰かを巻き込んでいると、そう仰りたいんですか」 「やり方は人の数だけあるから。正解はないよ。あるとしたら、その時の大多数だろうね」 「良い会長ですものね、あなたは。大多数に選ばれた」  花のような笑みをその顔に乗せて、小首を傾げた。 「でも」 「でも?」 「それに反を翻す少数派が、いつか多数派にとって代わるかもしれませんよ」  言いたかっただけなのか、それとも宣戦布告のつもりだったのか。失礼します、と一言のこして水城はくるりと背を向けた。  その後姿を見送って、成瀬は溜息を噛み殺した。面倒くさい。  ――まぁ、でも、気に喰わなかったんだろうな、余程。  あの、ミスコンが。

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