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パーフェクト・ワールド・レインⅡ-1
[2]
入学したころから、この学園が真面だと思ったことはなかったが、この数か月でそれが更に増している。
更に増している、と言うよりかは、妙な方向に盛り上がろうとしている、と言う方が正確かも知れないけれど。
「なに? これ、風紀に届けんの?」
久しぶりに生徒会室に顔を出してみれば、処理済みの箱の中に大量の決裁書が積まれている。その大半が風紀から提出されたもので。
「あぁ、書記の一年がさぁ、ビビってんだよ。おまえらの所為で風紀からのあたりがきついから。それで、できるだけ行く回数を減らしたいっつって。成瀬から叱られるギリギリまで溜め込んでんの」
仕方ねぇよなぁ、と篠原が苦笑して、ペンをくるりと回した。
「それで? おまえは成瀬が居ない隙を狙ってこっちに顔出してんのか?」
「まさか」
決裁書の束から風紀委員会宛てのものを取り出して目を通す。相変わらず、嫌がらせのように、さして必要のない書類を寄こしてきている。
「そろそろ成瀬がまた忙殺されかかってんだろ。たまには顔を出して仕事を減らしてやろうかと思って」
「そりゃ、おまえが居たらあいつは助かるだろうけど」
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