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パーフェクト・ワールド・レインⅡ-5

「つまんねぇな。また難癖付けてやがったら、乗り込みに行ってやったのに」 「本当に、相変わらずだな、おまえは」  おそらく、向原の記憶にある小学生だったころから、この男の素行は変わっていない。何にも興味のないようなふりをして、ある一点において、非常にしつこい。 「そうか? なら、相変わらずついでに、おまえが来た理由も当ててやろうか」  顔を上げて、本尾が笑う。心底楽しそうに。 「あの噂だろう」 「おまえか」  やはり、とは言わずに嘆息する。 「言っておくが、俺が流したわけではねぇぞ。まぁ、放ってはいるが」 「似たようなもんだな」 「俺が何をしようがしまいが広がっただろ、アレは」  なにしろ、と本尾が続ける。 「あの会長様がオメガじゃねぇか、なんて噂だ。面白がるに決まってるだろう、俺じゃなくても」

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