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パーフェクト・ワールド・レインⅡ-14

「バラすつもりか」  提案を断ったから、と言うつもりなのだろう。図るように睨みつけてきた瞳に、やっぱり馬鹿だなと思った。自意識過剰と言うよりかは、自信過剰の。  そもそもとして、アルファが――向原が口にした時点で、提案ですらなく、決定事項であるのがこの世界の節理だ。向原に興味があろうがなかろうが、それはそうなっている。  だから、今、そうなっていないとすれば、向原が「そう」したからなだけに他ならない。  面白そうだ、以外に理由を付けるとしたら、まっすぐに自分を睨む瞳の苛烈さを気に入ったからかもしれない。少なくとも、あの似非臭い笑顔よりは、ずっと。 「黙っててやっても良いよ」  にこりと微笑んでみせた先で、成瀬の瞳に怪訝そうな色が浮かぶ。あぁ、こいつは全く人を信用していない、と思って、同じだと思った。 「何が欲しいんだ、その代わりに」  欲しいものなんて、ある意味ではない。けれど、暇つぶしになるのならちょうど良いとは思った。このつまらない箱庭の中での六年間がそれで少しでも刺激的になるのなら、とは。 「おまえがずっと秘密にできるって言うんなら、俺も黙っててやる」  真意を読み取るように、成瀬は向原を見ていた。 「これから先の六年間、おまえが今のまま、アルファの顔で生きていきたいって言うなら、その秘密を死ぬ気で守れ。それが秘密である間は」  その瞳が自分だけをそうやって見ている間は、ゲームに付き合ってやっても良いとも思った。 「俺も秘密にしておいてやるよ」  俺だけが知っていれば良いことだと、最後に何故かそう思った。

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