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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 0-3

「なんで俺だ」 「信用してるから。それに……」 「都合がいいと言いたいならそれはそれで素直でけっこうだが、一番おまえにとって利用しがいがあるのはあいつじゃないのか」  素直に口を割るような男ではないとわかってはいたが、案の定だ。口八丁の武装を聞いてやれるだけの余裕はなくて、遮って言い募る。 「なんで選ばない」 「……」 「選べないのか」  変わらない沈黙に、こぼれそうになった舌打ちを茅野は飲み込んだ。言い争いをするつもりはないのだ。 「聞くつもりも口をはさむつもりもなかったが、向原には借りがあるんだ。――それにいいかげんあいつが気の毒だしな」  気の毒、という言葉にか、成瀬がかすかに眉を寄せた。成瀬の言うところの「なんでも持っている男」と「気の毒」という単語が結びつかないのだ。  茅野からすれば、どれだけ特別な人間だろうが、それでも自分と同い年の男にしか見えない。  矛盾しているようだが、それが事実だ。はじめて見たときに特別だとはわかった。敵わないのだろうなとも本能のようなもので悟った。  それでも、生活をともにするあいだに、人間になる。友人になる。  それなのに、成瀬にとっては、ずっとあいつは良くも悪くも「特別」のままなのだろう。  その積み重ねが、これなのだから笑えないが。

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