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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 0-4
「おまえが言ったとおりで、俺にとってのデメリットはさしてない。だがな、おまえにはデメリットしかないぞ。おまえは自分にもメリットがあるようなことを言ったが、俺には到底そうは思えない。特に、ここを出たあとは」
子どもに言い聞かせる根気でもって、茅野は問い重ねた。
「いいのか、それで」
「いい」
「できるか」
微塵の迷いもない返事に、苛立ちよりも呆れが勝った。溜息まじりにぼやく。
成瀬の言うとおり、つがいの契約はアルファの側からなら自由に解除することができる。アルファにはそれでなんの不利益もない。だが、オメガはそうじゃないはずだ。
「おまえは俺をなんだと思ってるんだ。できるわけないだろう」
「なんだって……」
「信用のできるお友達だというのなら、なおさらだ」
ドアを背にした位置から成瀬は動こうともしない。困ったような微笑を浮かべているが、どうせかたちだけだ。
「おまえの相手をしていると、たまに無性にむなしくなるぞ、俺は」
嘆いてみせてから、茅野は「それと」と言葉を継いだ。響くとは思えなかったが、それでも言わないよりはマシだと思ったからだ。
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