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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 0-6

「さぁ、どうだったかな」 「いいかげん、その似非臭い笑顔もやめろ」  響かないだろうとわかってはいたが、本当に糠に釘とはこのことだ。暖簾に腕押しでもいいが。 「あのな、成瀬」  どうにか声音を和らげて、人形のような顔に向かって呼びかける。いつも張り付けている笑みが剥がれると、出来すぎた造作が際立ってそんなふうに見えることがあるのだ。  わかっているから、人当たりのいい笑みで武装しているのだろうが。今日の作り笑顔は、この五年見てきたもののなかで一番にひどかった。  見ているこちらが、やめろと言いたくなるくらいには。 「それでも、あいつは、おまえを優先した」 「あれのどこが優先だ。思い切り殴りやがって」 「本当に、そう思ってるのか」  重ねて問いかけると、今度こそ成瀬が黙り込んだ。追い込みたかったわけでもないのに、なんでこう頑ななのか。  あいつ次第だろ、と言った向原の、呆れと諦めに染まった声が思い出されて、茅野は視線をちらりと窓のほうに向けた。  ――あいつがいなくてよかったかもしれないな。  これと会わせたら、今度こそ血を見たかもしれない。なにもさせない、と言った手前、面倒を見る義務はある。 「少なくとも、破れかぶれだったおまえよりは、おまえのことを考えていたように見えたぞ、俺にはな」

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