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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 1-4

「なんか、今日の食堂、変な雰囲気だったなぁ」  出てきたばかりの寮の門扉を振り返って、四谷がそんなことを言う。 「みんな、茅野先輩たちのほうばっかり気にしてるしさ。まぁ、気持ちはわからなくはないけど」  息が詰まりそうだったよ、と続いたぼやきに、荻原が、そうだねぇ、といつもの調子で笑っている。  前行くふたりの背中をぼんやりと見つめていた行人は、隣を歩く高藤にちらりと意識を向けた。こちらもこちらで、いつもと変わらない顔しかしていない。  正確に言うと、昨夜からずっと「いつもと変わらないふう」を装われているのだが。  ――そりゃ、まぁ、俺が先にパニクったからなのかもしれないけど。  ふたり揃ってそうなってもどうにもならないだろうから、高藤の判断は建設的だし理性的だし、合理的だとは思う。結果として、高藤が落ち着いた態度を崩さなかったから、行人も必要以上に悲観的にならずに済んだのだろうとも思う。ただ。  なんというか、ただでさえ感情を抑え込みがちな男の、弱音を吐露できたかもしれないタイミングをことごとく奪ってしまったのではないか、と思っているだけで。  ――でも、それこそ、いまさらすぎるっつうか。 「水城じゃない、あれ」  訝しげな四谷の声に、行人はばっと顔を上げた。

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