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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 1-7

 でも。  ――でも。  なんで、よりにもよって、こいつに、好き勝手に踏み荒らされなければならないのか。そんなこと、許されるはずがないのに。  許していいわけがないのに。  誰かの手が、ぽんと肩に触れた。そのぬくもりに現実に一挙に引き戻される。 「成瀬さ……」  呼びかけが途切れる。振り仰いだ先で目が合った彼がほほえんだ。何度も見てきた、行人を安心させてくれる、優しい、けれど、強い笑み。  ざわつく周囲も、好奇の視線も、なにもかも気にしていないそぶりで、成瀬が口を開く。 「俺がオメガ、か」  淡々とした静かな声だったのにもかかわらず、その声は騒音を打ち消すのに十分な力を持っていた。静まり返った生徒たちをぐるりと見渡した彼の視線が、水城のところで止まる。 「随分と楽しそうに話してたみたいだけど、俺を待ってたんだって?」 「成瀬会長」  にこりとうれしそうに水城はほほえんで応えた。 「よかった。お元気そうで。心配してたんです」 「心配? なにを」 「昨日のことです。僕もオメガだから、人ごとにはとても思えなくて。だから」  黙って話を聞いていた成瀬が、そこでふっと小さく笑った。

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