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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 1-9

「違いましたか。てっきりそうだとばかり。だって、あなたからはずっと僕と同じ匂いがしていたから」  少しの沈黙を挟んで水城が口にしたのは、到底答えにはなっていないようなものだった。そうしてから、にこりと意味深にほほえむ。 「でも、違ったのなら、謝ります。失礼なことを言いました」 「違う、違わないはどうでもいいし、そんな話はしてないんだ。そもそもとして俺がオメガだったら失礼というのが、おかしな話だしね」  苛立った雰囲気はいっさいない、穏やかと言っていい口調だったのに、なんだか落ち着かない。けれど、成瀬たちから目が離せなかった。 「俺が気に食わないのは、きみが失礼だと思っている、――世間一般的にデリケートな問題とされているものを、わざわざ衆目の面前で問いかけてくる、無神経さかな」 「そんな……!」 「無神経という言い方が不本意なら、姑息と言い換えてもいいけど」  変わらない顔で成瀬はほほえんでいる。傷ついたような表情をつくっていた水城の瞳に嫌悪が浮かんだのを、行人はたしかに見た。 「あなたにとって、オメガは随分と下等な生き物のようですね」 「大嫌いだよ。オメガだろうが、アルファだろうが、第二の性を盾に好き勝手画策する人間はね」

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