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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 1-13

「茅野さん、あの」 「まぁ、なんだ。あまり気にするな。見たらわかっただろう。安堵を通り越して腹が立つくらいには、あいつは通常運転だ」 「でも」 「俺が昨日どれだけ延々と今後についてを聞かされたと思ってるんだ。おかげで寝不足でな。そういうわけだから、おまえらも校内で揉めてくれるなよ」  なにも言わせてもらえなかった上に、後半は自分だけではなくギャラリーに向けられている。  けれど、いつもどおりの茅野を見ているとほっとしたのは事実だ。不承不承ながらも頷くと、茅野がぽんと肩を叩く。 「ほら、わかったら解散、解散」  茅野の声に、居残っていた生徒たちが少しずつ動き出す。だから言っただろ、というような高藤の視線には応えないまま、行人は去っていく生徒たちをじっと見つめていた。  彼らのうちの何人が、水城につこうとするのだろうか。そう思うだけで、よくわからない焦燥のようなものがせり上がってくる。 「そうだ、荻原」 「は、はい!?」 「なんだ、その反応は。おまえまで四谷や榛名みたいな反応をしなくていいだろう」 「いや、その、……すみません。ちょっとぼーっとしてて」 「まぁ、いいが。またあとで通知が出ると思うが、今日の放課後は空けておけよ。寮生委員会の緊急総会があるからな」 「え? 緊急、ですか」  硬くなった荻原の声とは対照的に、茅野の声はあっけらかんとしていた。 「あぁ。詳細はあとで話すが、議題は楓寮のことになる予定だ」

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