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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 1-16

「あの、……その、成瀬さんのことなんです、けど」  そもそも、この人はいったいどこから見ていたんだろうか。そして、茅野の言っていた「延々と今後について聞かされた」という話し合いにこの人は同席していたのだろうか。  それに、そもそもとして――。  ――向原先輩と成瀬さんって喧嘩してるんじゃなかったっけ。  それがどういう喧嘩なのかは知らないし、成瀬に聞くだけの勇気もなかったのだが。  というのも、向原が生徒会をやめるという話を知ったタイミングが、あまりにもあまりだったから。自分が起こした騒動が理由の一端だったのではないかと邪推してしまってもいたのだ。 「えっと……」  遠くで予鈴が鳴っているのが聞こえたのと、さすがに面倒になってきたらしい向原に小さく溜息を吐かれたのがほぼ同時だった。 「おまえが気にすることじゃねぇよ」 「それは、その、……そうだと思うんですけど」  それもまた何度も高藤なりに言われてきたことで、向原に言われてしまうと、それ以上の言及はしづらいのだけれど。  それなのに話を終わらせ切れなかった。

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