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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 2-1

[2]  俺はここで折れるわけにはいかない、と言ってみせたのは、案外と本心だったのかもしれない。 「おまえ昨日の今日でなにやらかしたんだよ、うちの寮、今すげぇ大騒ぎ……って、は?」  生徒会室の扉を乱雑に開けて入ってきた篠原が、中にいたもうひとりの存在を見とめて、ぽかんと口を開けた。  そうしてから、そっと息を吐く。呆れ半分で、けれど少なからず安堵した顔で。 「なに、おまえら、仲直りでもしたわけ?」  仲直りという小学生のような言葉選びに、成瀬は小さく笑った。これは、そんなふうなかわいいものじゃない。 「利害の一致」  呆れが三割増しになった視線をこちらに向けてから、向原に向け直す。 「……って、言ってるけど?」 「まぁ、べつに否定はしない」 「…………なに、おまえら。同じ空間にいるなら冷戦はやめろよ、マジで、頼むから」  俺の胃がもたない、と心底嫌そうにひとりごちてから、篠原が仕切り直すようにして笑った。 「それで? なんの利害の一致だって?」  

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