522 / 1144
パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 2-3
「本当に嫌われてるなって、ちょっと笑いそうになったけど」
「……あいつ、楓寮に戻ってくるなり、やっぱり会長は僕のこと嫌いだったってぐすぐす泣いてたぞ」
「そんなこと言ったら、俺も大嫌いだって面と向かって言われたけどなぁ」
「化かし合いどころか幼稚園児並みの喧嘩じゃねぇか、それ」
呆れ切った視線を受けて、成瀬は肩をすくめてみせた。
「似たようなもんだろ。人のものを欲しい欲しいってごねてるんだ。手に入らないから余計に、なんだろうけど」
我関せずを貫いている向原をちらりと見やってから、篠原が言った。呆れたを通り越した、どこかおもしろがる調子で。
なんだかんだと言ったところで、この男は昔からお祭り騒ぎが好きなのだ。中等部にいたころ、風紀を潰したときもそうだった。
「本当におまえ性格悪いよな、そういうとこ」
「おかげさまで」
それこそ否定する気はいっさいない。さらりと首肯して、ほほえみを浮かべる。祭りを主導する会長の顔で。
「だから、楓寮からつぶそうと思って」
ともだちにシェアしよう!