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パーフェクト・ワールド・エンドⅡ 2-4
「楓寮って、おまえな」
嫌そうに顔をしかめた篠原が、盛大に溜息を吐いた。面倒だ面倒だとあれだけ言っていたくせに、自分の寮を荒らされることには抵抗が残っていたらしい。
「また人の寮をそうやって好き勝手……」
「妥当なところだろ」
そこでやっと、向原が静かに口を開いた。
「今まで放置してやったんだ。つけ込むところはいくらでもある」
「おまえが言うと、一段と怖ぇな」
苦笑いのまま、篠原が続ける。このふたりがこうして話しているのを見るのもひさしぶりだなと思うと、さすがに少し罪悪感を覚えてしまう。
この状態をうれしく感じるとは言わないが、一番割を食っていたのは篠原だろうなとも思っているからだ。
「どうせ茅野焚きつけたんだろ。あいつ、一応あれでも寮生委員会の委員長のほうでは公平を保つって顔してたのに」
「公平だろ。おまえのとこの寮の運営が不健全すぎたんだ」
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